「コロナ禍という環境が目まぐるしく変化した数年を経て、今は新しく選択した生活を振り返る時期なのかもしれません」。そう話す大野が2022年秋冬のテーマに選んだのは、「熟成」。自らが選んだ変化が、ゆっくり、じっくりと生活になじみ、豊かさを帯びていく様を味わってみる。そんな時期なのではないかと捉えました。
そう考えた時、頭の中に浮かんだのが「ココア」と「カーキグリーン」の2色。「暖炉の前で、ココアの入ったカップを眺めながら、浮かべたマシュマロが溶けていくのをじっと眺める。そういう落ち着いた時間の中で、今の自分と向き合えたなら」。その情景を具現化させたのが、ほんのりと甘さを含んだブラウンの「ココア」でした。
もう一方の「カーキグリーン」は、寒空の下で春を待つ草木の、静かでありながら強いエネルギーを表現しています。「植物に秘められた生命力が、環境の変化を経て新しい生活の中で生きようとする、今の私たちの心持ちに近いのではないかと思って」。使い手の心にそっと寄り添えるように。そして、季節と優しく響き合うように。そんな願いを込めて、生み出された2色です。