「コロナ禍の影響で環境の変化の多かった数年を経て、この秋冬には色づき散りゆく樹々の葉のような、細やかな変化を感じられる日々になれば、と選んだのが2022年秋冬の『熟成』というテーマです」。そこに沿いながら、「水染めコードバン」の魅力である「透明感」を味わえる2つの新色を制作。「バーガンディ」は、落ち着きのある華やかさと色気を感じさせる色味。「ダークモス」は、緑、黒、茶色と、一口には言えない絶妙なニュアンスカラーが特徴です。
「色という本来、形のないもの、その移ろいゆく一瞬を切り取り形(製品)にしたような絶妙な色味です。それは、手にするたびに思わず眺めたくなる、そんな表情豊かな色に仕上がりました」。
「新色『ダークモス』は、ブラウンにひと匙のグリーンを混ぜたような絶妙な色味。その色がより引き立つように、ステッチや内装、コバ(革の断面)にブラウン系の色をあしらいました」。大野は色を「単体」でイメージするのではなく、革との相性や見栄えも考慮し、「形になるまでを想定」して選びます。